資料1(アンケート調査)
文責:三木
ABS21の設立10周年を迎えるにあたり、会員を対象としたアンケート調査を実施しました。
以下に、その結果を報告します。
■ 調査概要
目 的:ABS21への入会動機、活動状況や感想などを確認することで、今後の運営に反映する。
対象者:ABS21の全会員(65名)
期 間:2009年8月22日〜9月12日
方 法:質問紙調査(1択式と、3つまでの複数選択式の2種類の項目、および自由記述により構成)。
インターネットサロンでの配布、および、電子メールによる依頼(視覚障がい者に対しては、
サポーターが対面による読み上げと代筆により対応した)。
■ 回答者の内訳
回答者:31人(メール回答:17人、筆記回答:14人)。回収率49%
年 齢:30代1人、40代5人、50代4人、60代13人、70代以上7人、無回答1人。
性 別:男性15人、女性15人、無回答1人。
活動期間:5年以上 15人、1年から5年 14人、1年未満 2人。
所属形態:有職者6人、パート・アルバイト5人、無職16人、その他2人(NPO法人、
在宅ヘルパー)、
無回答1人。
■ 集計結果
以下より報告する数値は、1択項目は「人数」、複数選択は件数「P(ポイント)」を示す。
「その他」の回答数は、その他以外の項目を選択していないものだけを対象にカウントした。
1.入会動機とABS21の活動をどのように知ったか
ABS21に入会した動機は、「パソコンやITに関する技術を習いたかったから」が21Pともっとも多く、続いて「地域の情報を得たり雑談しながら人と交流する場が欲しかったから」が14Pとなった(図3)。
11-1
ABS21の活動をどのようにして知ったかについては、「家族・友人ななどからのすすめ」が13P、「サロンの見学や講演会などのイベントへ参加を通して」が10Pであった(図4)。 その他の内訳ではABS21会員からの紹介として会員の名前を挙げる人が多く、Webや広報誌などのメディアよりも、人を介して知るケースが多い。
2.活動状況
ABS21の主要な3つの活動テーマ(「インターネットサロン」「バリアフリーマップ作成」「バスハイク」)の参加頻度と参加形態に関する設問には、下記のような回答が得られた。
(各活動の内容に関しては本文の「活動紹介」のページを参照)
2-1インターネットサロンについて
参加頻度は、「ほとんど毎回参加している」が10人、「ときどき参加する」が16人となり、回答者のほとんどが参加経験を持っている(図5)。
参加目的としては、単にPCやITに関する知識・技術の取得ばかりでなく、仲間との交流を通した「憩いの場」(お茶タイム)を通しての人との交流を参加理由として挙げている(図6)。
<その他の内訳>
- 自分に必要なパソコン スキルを教えてもらえるし、自宅まで訪問してトラブルを
解消していただいている、感謝に耐えません。
-
個人のホームページが作れた!!! 一番うれしい!!!
-
印刷機がないので、印刷をABS21からしていただいた!!!
-
故障を直していただいた!!!
-
パソコン等自分が分らない事が発生した場合解決出来る安心の場として?
-
会の運営に関する意見交換・調整の場
-
バスハイク等、会員同士の打ち合わせの場として利用することもある。(みんなの都合
がつく時間帯のため)
2-2 バリアフリーマップ作成活動について
参加頻度は、「ほとんど毎回参加している」が2人、「ときどき参加する」が11人であった(図7)。インターネットサロンと比較して参加者が少ないのは、フィールドワークの区域による分担制、変則的に開催されることが要因として考えられる。活動に対しては、「地域情報を得ることができる」の件数が最も多く16P、次いで「地域の人との交流を通してバリアフリーの概念を広めることができる」が10Pとなった(図8)。自由記述に、不参加理由としてご自身の障がいを挙げた人がいた。フィールドワークには、すべての人にとって暮らしやすい街であるかを検証するという目的もあるので、障がいの有無に関わらず、参加しやすい活動方法を検討する課題のあることが伺える。また、取材後のHP化作業に対する負担感が4Pあり、作業感軽減のための施策検討が必要と思われる。
3.ABS21に参加しての感想
既存会員(設立者含)からの勧誘を参加理由に挙げる人が多いが、実際の活動をしてどんな感想を持っているかについて尋ねたところ、上位項目としては「障がい者理解が深まるなど視野が広がった」が16P、「異年代間の交流ができた」が15P、「新しい知識、技能を身に付けることができた」が15Pであった。異世代間交流や障がい者理解など、他者を理解するという効果につながっている。
4.これからのABS21の活動に望むこと
自由記述形式により、これからのABS21に対して望むことや取り組んでみたい活動に対する意見を求めたところ、12名からの回答があった。
主な意見としては、インターネットサロンの開催日や、貸し出し用PCの不足、サポート体制に対する要望などが挙げられている。インターネットサロンでは、サポートを必要とする方(特に視覚障がい)に対する配慮が行き届いていないという改善項目が挙げられている。
自由意見に寄せられた内容
-
メールだけしか出来ないので、何を聞いて良いのかわからない。
-
パソコンを覚えられて、楽しく生き生きとなるようなところであって欲しい。
-
インターネットサロンの時間が短い。1時間半では、慣れてきたことに終わってしまう。重たいPCを持って来たのだから、お茶を飲んだ後でももう少し続けたい。3時からお茶にしてほしい。
-
来た人の希望を聞いてから、サポーターの分担などを割り振り、公平に対応して欲しい。何もサポートを受けれなかったので辞めた人もいた。
-
決まった人しか来なくなった。教える人が少ない。
-
視覚障害者へのサポート体制の強化
-
最近視覚障害者の方が多くなり、やはりサポートができる方の養成が必要だと思います
-
時間の制限あり、何回も繰り返す、なかなか進まない。また、マシンが借りられない。機械の調整に時間がとられる。
-
無理すると続かないので、できる範囲で興味のあることにだけ、取り組んでいきたい。
-
隠し事はやめましょう。(調査者注記:相手を気遣い過ぎることなく、考えを伝えましょうという意味)
-
以前は月曜日と土曜日に開催されていましたよね。私は家でマッサージを開業してますので、どうしても土曜日は外出しにくいのが現状です。だから以前のように月曜日も開催してもらいたいと思います。
-
講演は重要なイベントであり、ABS21内だけでなく、公募もしてABS21をもっと知っていただけるようにしたら良いと思います。
-
サロン開始時にパソコンを机の上に置いておき各自が接続して使用する様に持って行く事によってより自立の近道と気が付いたので、今後その考えで運営に当たりたい。
-
サロンの時間帯にマップ関係のテーマをお願いする様にしたい。テキスト確認・更新必要の発見等。
-
楽しく集うきっかけづくりの提供が月のうち何回かある。これだけでよいと思う。
5.まとめ
今回の調査への回答者31名の内訳は40代以上が大多数を占め、若年層(30代以下)からの回答はほとんど得られなかった。参加のきっかけとしては、発起人を中心とした会員からの誘いによるものが多く、主にインターネットサロンへの参加頻度が高い。活動形態としては、ティータイムやふれあい活動など「会員相互の交流の場」が設けられている点が評価されており、ABS21の活動目的は達成できているといえる。これらは、ITというツールや、「障がい」を切り口とした他者理解を深めてケアしあうリアルな交流の場を、会員相互の努力によって形成してきた成果であり、10年間という長期にわたって継続している理由ではないかと思われる。
いっぽうで、インターネットサロンの開催日やサポート体制に対する要望や、運営に対する提案なども挙げられ、運営面での課題があることもわかった。今後の活動をより発展させていくために、本調査結果に加え、今回の未回答者への追加ヒアリングなどを通して、これからの10年に向けて「活動計画」の策定に反映していきたいと考える。
謝辞
最後になりましたが、調査にご協力いただいた皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。