5.実際の障害者との関わり


以下にABS21のメンバーから寄せられた意見・感想・報告を抜粋して紹介する。

<コミュニケーション>

ABS21の情報で、サロンや委員会、その他のイベントに参加した。
入院したとき、メールで情報が流れ、見舞い客やお見舞いメールがあって嬉しかった。
普通の生活では知り合えなかった他の障害の方と出会い、交流することができた。
逆境にあったとき、ROMしかできなかったが、メールが送られてくることで仲間の存在を感じ、元気づけられた。
安否確認ができた。
一般の人と対等に話せて嬉しい。
文字での自己表現が可能になり、たくさんの思いを人に伝えられる。
ちょっとしたことでも、恥ずかしくなく聞ける場の雰囲気がとてもよい。
今まで、思いはあっても発言の機会がなかった方や、発話困難な方たちが声を出し始めた。「意見を言うのが嬉しい」という会員がいる。例えば、「ラ・ポールネット(注:新横浜にある障害者スポーツ文化センター 横浜ラポール)の足りないのは、障害者の生活が出来るようにいろいろ考えたり、市にお願いしたりすること」
障害のあるひとが「受け身」でなく企画に「参加」でき、しかも相互に支え合っていることがすばらしい。
障害があって外出が困難な人々でも、ボランティアができる。自分たちに必要な地域情報の収集・発信を、自宅に居ながらにしてできる。
ひっそりと生活している人々にとっても、繋がる喜びを得られるようになった。「パソコンのスイッチをいれると、仲間から何かメールが来ていてとても嬉しい」
障害のある方々や家族は、行政が発表できない多数の奥深い情報源をもっているので、個人メールでつながり、それを分かち合いはじめた。
外出が困難で人との出会いがどうしても少ないと、視野が狭くなり、思いやりに欠ける場合もある。自分の障害のみに熟知しているものの、異なる障害に対する配慮ができない場合がある。想像力が働きにくいという面もあるようだ。
社会経験が少ないためコミュニケーション能力が磨かれていない人がいる。例えば、情報を得るために、要点を的確に伝えられない方がいる。
<心の問題>

(特に親元で生活し作業所へ通っている)身障者の多くは、ごく親しい一部の人以外の仲間とは、うまく付き合えないことが多い。
閉ざされた生活環境の中で感情的になり、主張がきついので、発言段階で反感を買うこともある。自分の要求どおりにならない場合、それをすべて「障害のせい」にして自己矛盾に陥ったりすることもある。
中途で障害を持たれた方や障害児であることが判明したばかりのご家族の心理的な変化についていうと、まずショック。哀しみや怒りの段階。次に、否認。障害受容ができない。障害者の場合、家族を命令口調で使ったりする。そして、時の流れとともに、今の自分の状態に適応して再起をはかるようになれる。相手の心理的な反応の強さによって、関わる側も対応していかなければならないのだが、相手の状況によっては親切が仇になることもある。
人の気持ちを思いやるとはどういうことなのか、みなさんが書いたML(メーリングリスト)を読みながら自問する日々です。特に障害をもつ方々の苦しみは「分かっている、配慮している」と言っても本当には分かっていないのではないでしょうか…
<意義>

ABSに出会って良かった、(大袈裟に言えば)生きる事が楽しくなった…etc。
(入会申し込み書)ただなんとなく日々を費やしてきた私にとって、abs21に入会し、活動して行くことはとってもやりがいのあることと思えてなりません。足でまといになることと思いますが、宜しくお願い致します
(視覚障害)いつもメールお読んでいます。とても画期的ですね。色んな活動うをしていることが、よくわかります。私たち障害者にとってとても嬉しいです。ありがとうございます。私もできるだけ参加したいとおもいます。Mさん、女性と間違えて、申しわけありませんでした。今日、メールは、バリア を、なくすのだと、私はじっかんしました。
(バリアフリーお絵かき教室に参加して−自閉症児の親) とかくこだわりの多い子だけに一度混乱してしまうとなかなか復調しにくい面をもっているのですが、今日は周りの皆様のおだやかな応対のおかげで、最後まで参加でき本当に良かったと思います。
帰路電車の中で、息子も「楽しかったね。また来ようね」と何度も言っており、夏休み最後の楽しい思い出となったようです。(略)親子共に楽しい経験をさせていただきましたことを感謝しております。
パニック障害と診断されて2年半になりますが、過呼吸や広場恐怖や鬱と闘った辛い時期がありました。身に背負った障害の見える部分に対する苦しみプラス社会的に認められないという精神的な苦しみであろうと思っています。今はそれらを何とか克服し、…(略)。自分の身に降りかかった障害で初めて他の障害をもつ方々のことを思うようになりました。そして、一人で外出がままならない障害のある方にとって、パソコンが世界を広げる重要な役割を担う事も実感しました。
<支援>

他所でも障害者の為のパソコン講座は開かれています。でも、そのほとんどがマウス及びキーボードが扱える事が条件で、それが出来なければ門前払いです。
インターネット接続と電子メールの設定を依頼すると、直ちに自宅出張してくれた。 すぐにABS会員になった。
視覚障害のMさんが急遽いらしたので、専用ソフトの入ったパソコンが足りなく、MMメール(シェアウェア)をダウンロードし、Yさんの95リーダーをインストールして対応しました。
視覚障害のGさんも初めてMMメールに挑戦してもらうと、メールは楽しいとおっしゃっていた。
バリアが多すぎるのではないでしょうか。視覚障害者は、音声によってコミュニケーションします。すなわち、来たメールを機械で読ませ、それを耳で聞いて理解する方式です。ですから、
伝える内容は、文章にしてほしいこと 
いたずらに文中に記号を入れないこと 
写真,図表などを入れる場合には、その説明を加えてほしいこと
記号などでの囲み記事は、機械が読みにくいこと
その他、視覚に障害のある者にも参加できるように配慮してほしいこと
視覚障害の方は、機種が変わると不都合です。キーボードの配列などが機種によって異ならいよう標準化できるといいと思います。
ローマ字をあまり理解していないので、入力が難しい。
キーボードの表記が英語なので、わからない。
電話で教えてもらうのは難しい。
聾者は、携帯でやりとりをしていて、不便を感じないといっている。
(中途難聴者)手話ができないので、マイクをいちいち発言者に手渡さなければならず、集中していると頭が痛くなり、会議はとても苦手。健常者との混交は、疲れるのと、迷惑を掛けるとの思いがどうしても抜けきらないのです。
らくらくマウスは、どちらかというと不随意運動等で細かい動作が難しい方向けなので、Aさんには少し違うのかな…と思いました。逆に、頚椎損傷とかリウマチの方のように指に力が入りにくい方には、トラックボールが向いているように思います。
四肢麻痺の障害に加え、事故による頸椎・腰椎損傷のため長時間の座位を保つのが辛いです。(略)無理したため、身体を壊してしまい現在医者通いでパソコンも横になってポチポチ打っている状態です。そのため、MLの高速度に追いつけず、…。
私たち重度障害の方の中には、ゲーム機のパッドや携帯電話、ペン入力などモバイル端末の操作は難しい方もいらっしゃいます。また、これらの機器は、殆どカスタマイズ(利用者に合わせて機能や操作を変更する)が利きません。私の友達は、肢体不自由で視覚障害はないものの、音声(読み上げ)ソフトや、マウスに代わる特殊な入力機器が必要です。汎用のAT互換機(ウインドウズ機)では、世界的に周辺機器の規格が統一されていますので、対応福祉機器が揃っています。ウインドウズ自体も、「ユーザー補助」機能など私たちのことを考慮した大変有り難い作りになっています。しかし、ゲーム機や携帯電話は、対象ユーザーは現在のところ健常者で、そうした福祉対応がなされていません。ゲームも、格闘物など私たちには遊べないものが多いようです。以前ゲーム機メーカーに問い合わせましたが、障害者の意見はまともに聞いてくれませんでした。
画面のスクロールですが、マウスを右端のスクロールバーに合わせてスクロールやドラッグして見るのは、私も辛くて腕や肩が痛くなってしまいます。どうしても、必要以上に力が入ってしまうようで、1箇所を保持し続けるのも大変です。そこで、最近「スクロールマウス」に交換したのですが、これが快適でスクロールも楽々できるようになりました。
上肢や言語の重度身体障害(2級以上?)の方には、行政(福祉事務所)の「日常生活用具」制度で意志伝達用具として、「和文タイプ」か「ワードプロセッサー」に対する補助がありますが、横浜ではパソコンは対象外だと聞きました。


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