22年12月11日(土)バリアフリー講演会・報告
- 題目:バリアフリー講演会・サポートされる側、する側
- 講師:清水美知子氏(歩行訓練士)
- 場所:青葉区福祉保健活動拠点 ふれあい青葉
- 講師プロフィール:フリーランスの歩行訓練士
清水美知子さんは歩行訓練士です。弱視や視覚障碍者の生活の場で、実際の手助けをしたり、講演活動を各地でしていらっしゃいます。
「社会に出ようという時、いろいろな職種を想定に入れて取捨選択していったら、この仕事が残った。」
30年以上視覚障害がある人の歩行訓練に関わっています。
また、10数年間医療機関で視覚障害や視覚障害リハビリテーションの相談窓口を担当。
講演会の内容の要約
もともとガイドヘルプとは視覚障碍者が歩く手段としてできた。視覚障碍者の中で60歳以上は70%と、高齢化が著しい。ガイドヘルパーを使う方はどちらかというと年齢の高い、身体機能や判断能力が少し低下された方がより多くお使いになるのではないか。ガイドヘルパーも介護保険の担い手として手助けするほうに重点をおかれて専門職の養成講習を受けるので、利用者の持っている能力をそいてしまう心配がある。ガイドする方は自分が善意でやっている事がさらに相手を弱めてしまう要素があるので気をつけるのが大切と思う。
さて眼の不自由な方に、元気のいい脚を持っているのに全く一人では歩けないのでしょうかというメッセージを送りたい。
もう少し一人で歩ける距離や時間を作れるのではないでしょうか。すべてをガイドヘルパーや家族と・・一緒に歩いてはいけないとはいいませんが、自分の状況からは適正な比率ですか?今日はどこそこまで歩いて行くよ、今日は電車に乗るけどよくわかるから一人で行くよ、と歩く形があると思う。自分に問いかけてみて欲しい。自分の能力をみくびってはいませんか?もう少しあるんじゃないですか?あるとしたらはぐくんでみたらどうですか?近くの信号が渡りきれなければ、役所に行ってなんとかしてくれとかけあってみて、一人で歩く場所にかえてみたらどうですか。
障碍者のグループは多様です。歩き方も行動量も多様です。グループでは障碍を共有しているかもしれないが、視力の残り、経歴など一概にこの形と言い切れない。自立の有り様、外を歩く有り様、それらを含めた上で皆さんが自分で考えている自立、自分にとってこの自立は自分を甘やかしてはいないか、逆にあまりにも自分を追い込みすぎてはいないか、どちらの場合も心の病を発症しやすくなる。そういったことは個々のキャパシティで判断していかなければならない。あの人がしているから私も、とか自分がこうできるからあの人もできなきゃ、というのは危険がある。通常は見える見えない、ガイドする側される側だが、障碍の中に入っても同じ事が起きてくる。それぞれで気をつけなければいけない心構えがあるんだろうと思います。そこにはされる側とする側、あたかも相反するようで正反対ではない関係というのがでてくるのではないかと思います。
この要約:星野
参加者の感想
◎その1
歩行訓練士 清水美知子さんの講演会聴講者は42名でした。
清水さんは、いわゆる従来型の講演形式でなく、
フロアーに呼び掛け、様々な意見を導き出すという、
白熱した双方向のコミュニケーションを展開してくださいました。
そのため、参加された皆様方に、
世の中には様々な見方・考え方があるということを明らかにしていただき、
聞き手が自分で自分の答えを考えるような機会を
与えてくださったように思います。
清水先生によれば、このような双方向の形式が可能だったのは、
発信することのできる参加者がいらしたからこそだと
いうことで、青葉区ならではないかというご感想でした。
そして、支援者と被支援者の関係性の
微妙でナイーブな問題を、気づかせてくれました。
やってやるボランティアではなく、
自立・自律を促して見守るボランティアを目指すこと、
しかし、良好な人間関係により、
対等性を保つことなどを学びました。
温かさと厳しさの両立という匙加減のむずかしさが
あるのではないでしょうか。
みなさまは、どの様なご感想をお持ちになりましたでしょうか。
感想:三竹
◎その2
昨日の清水美知子氏の講演は、一夜明けたところで、味が出てくるという、
含蓄のあるミーティングだったように思います。
出席された人により、それぞれ前もって持っていた期待感は違います。
また、その経験や立場も異なり、講師の方では、出席者に合わせて
現場調整しながら話をしなければなりません。
こういう雰囲気の中で、一方的に話すのでなく、
一緒に考えようとする、難しい試みをされていました。
清水氏は、豊富な現場の知識を前提に、
「広い空間を歩きまわろうよ」という呼びかけが聞こえてきました。
このような方と、同じ空間にいたというだけでも、意義のある講演会でした。
遠いところからわざわざお越しいただき、本当に良かったと思います。
招聘した関係者の方々へも、お礼を申し上げたいと思います。
有難うございました。
感想:澤田
◎その3
私も、清水さんの講演会を聞いて澤田さんと同じ様な
感想を持ちました。
先週の日曜日、職場で毎月やっている講習会で
「伝える」「伝わる」というテーマで話を聞きました。
清水さんのお話を聞きながらそのときの講習会の内容とが
重なってきました。
清水さんが伝えたかったことは、とてもよく私には
伝わってきましたが、あの日の出席者全員に必ずしも
伝わったかどうかは疑問です。
しかし、清水さんご自身がおっしゃっていたように
みなさんに同じ様に伝わらなくてもそれはOKと
言うことかもしれません。
伝えたいことが、意図したように伝わるかどうかという
ことはいつの時にもかなり難しい命題ですよね。
ありがとうございました。
感想:山中
盲導犬について
参加された方の中に盲導犬とこられた方がいられましたので、お聞きしました。
盲導犬について
- 盲導犬は、盲導犬協会から貸与されます。
- 犬の名前は、盲導犬協会で命名され、その名前を使います。
- 食事、餌は、盲導犬協会から入手し、ほかの餌は与えません。
- 他人が呼んでも応答しないように、通常は外国語で命令します。そのように訓練されています。
- 通常は、盲導犬の勤務時間は無休です。自宅では、眠っているような状態でも呼ぶと起き上がり、命令を聞きます。
- 盲導犬は、行きたい所へ案内してくれません。自分の頭の中に地図がないと外出は不可能です。
- 盲導犬は、契約期間が経過すると盲導犬協会へ返却されます。
まとめ・報告:ホシ